「幻想の森を案内する」

佐藤 稔さん(戸沢村出身、最上峡案内人協会会長)

幻想の森を案内する佐藤稔さん

今回幻想の森を案内いただいた最上峡案内人協会の佐藤稔会長は、戸沢村の今はない沓喰(くつはみ)地区出身になります。沓喰地区は、最上峡の中の最上川北側にあった集落で、通学・通勤・買い物などの用事がある時は、船で川を渡っていました。

下写真の右側(現在は桜の木が植わっている)

沓喰地区は最上川の対岸にあった12世帯ほどの集落だったが、お子さんの通学の問題で国道が走る対岸の集落の上台(うわだい)地区に集団で移転されました。沓喰に住んでいた頃は農業や炭焼きで生計を立てていましたが、上台に移ってからは船に乗りなれていたので、舟下りの仕事に就き25年にわたり船頭をされました。

幻想の森」は、樹齢1000年を超えると思われる巨大な天然杉で、タコ足状に幹が分かれた多幹型の杉が多いことが特徴になります。平成10年(1998)に最上山岳会が命名し、観光の場として認知されるようになってきましたが、佐藤さんの祖父は木材を加工する木挽(こびき)職人でこの杉を材料に船や桶などを造ってきたので、この森の存在は昔から知っていたそうです。

「幻想の森」の案内は、戸沢村の新たな観光資源を積極的にPRしていきたいという思いから、平成12年(2000)に案内人協会を立ち上げ、ガイドを行なっています。平成21年(2009)には、JR東日本の「大人の休日倶楽部」のCMの一つとして、吉永小百合さんが木の音を聞くために耳をつけた杉の木で、撮影ポイントとして人気を博しています